2019/09

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 長いヨーロッパ・ツアーを終え、ほうほうの体で新宿のワンルームに戻ったわたしを待ち構えていたのは、都税の「最終催告書」と、NTT東日本の「契約解除予告通知書」という、ものものしい通達であった。都税の方は「納付されなかった場合には、地方税の定めるところにより、あなたの財産を差し押さえることとなります」と迫ってきているが、その期限は半月ほども過ぎている。NTTの方は「最終指定期日の翌日をもって契約解除させていただきます」と、こちらは有無を言わせない構えで、期限も間近だ。電話を止める時のように、機械的にあっさり電話線の接続を切断するのだろう。
 わたしの長期不在によって、たまたま顕わになったことではあるが、通常の生活の中ではなかなか遭遇する事態ではなかろうと思われるので、皆さんのご参考に供すべく、ここで開陳に及びたい。



 どちらも大した金額ではなく、都税の方は8千円ほどだが、いったい何を差し押さえる気なのか? 価値のある家財道具はないわたしだが、まあ足して8千円ぐらいにはなったとしても、それに要する手間や人件費の方が、はるかに上回るだろう。しかし、これは形式的な脅し文句に近いようで、都税事務所に電話すると、延滞金も課せられることなく、郵便局で払ってくれれば良いという。金額があまりに小さいことと、納めていない人が少なくないので、わたしがわざわざ電話して、払う意思を示したことが、担当者には嬉しいような(言い過ぎか)印象だった。なお、2ヵ月半ほどの滞納で「最終催告書」が出されるらしい。
 一方、心底ムカついたのはNTTで、わたしの滞欧中に電話が止まっていることは「エロ漫画凶悪編集」が、このブログのコメントでわざわざ公開したとおりだが(「電話代、早く払え」なんて、余計なお世話だ)単に止まるだけでなく、契約自体を打ち切るという通知が来ていたのだ。これまで、何度も電話を止められ、そのたびにコンビニで払って即開通だったので、なんとなく電話料金は止められて払うもの、と思ってきたが、「契約解除」の通知は、さすがに初めてだ。1ヶ月の滞納で電話を止め、2ヶ月でもう「契約解除」となる。「解除」後に未納料金を払っても「契約」が回復することはない。
 まあ、電話が止められて、そのまま一ヶ月もほったらかす方が悪いといえば悪いのだが、未納料金と支払うまでの延滞利息はどこまでもついて回り、ここでも「誠に不本意ながら、法的手続きにいたる場合もございます」と脅している。しかし、わたしがムカついたのは、その次の条項で「ご契約時にお支払いいただいた施設設置負担金につきましては、権利金または保証金ではありませんので、お返しできません」というヤツだ。
 携帯電話が増え、固定電話の価値が急速に下がったのだろうが、わたしの場合、20数年も前に電話用とファックス用に2本引いて、確か一本につき7万円くらい払った覚えがある。当時は留守電とファックスが一体化した最近のような器械がなく、フリーの編集兼ライターとしては、どちらも必須だったのだ。それに、こんなわたしでも、多少のバブルの恩恵は受けていたのだろう。その後、ピンク映画の仕事に携わるようになっても、浜野組が次から次へと撮影していた時期は、脚本担当として食うに困らないぐらいの経済環境にはあった。ところが、浜野組が自主映画に主軸を移した途端に、窮した。わたしが監督するピンク映画やゲイ映画は、年に数本であり、以来窮しっ放しなのである。



 こうなると、2本の電話は明らかに不要なのだが、1本にまとめるためには留守電&ファックスを買わなければならないうえ、ファックスの方をADSL兼用としてしまった。わたしに電話をかけてくる人間も、相当限られてしまったので、ファックスの方に一本化し、それを連絡すればいいのだが、こちらの電話は自分からかけることがないので、一ヶ月2千円前後と大した金額ではない。今回も、それに日常の電話として使っている方の4千数百円を加え、計7千円ぐらいの滞納で、わたしは「契約を解除」されようとしたのだ。20年来の顧客を「7千円×2ヶ月」で打ち捨てるのだから、公益企業のカケラもない。
 電話代を払わないくせに「NTTのやらずぶったくり」とは、悪質な因縁をつけているように見えるかも知れない。しかし「施設設置負担金」は、かつては事実上の権利金として機能し、質に入れたり金融の担保になった。電話を何百台と使っている大きな会社の場合には、資産として計上していることがあり、それを一方的に無価値にすることが問題となっていたはずだ。決着はついたのだろうか? おそらく法人については何かしらの手を打ち、個人については切り捨てるだろう。では、今新しく固定電話を開設しようとしたら、こうした権利金まがいの負担金はゼロで引けるのか?
 現状において、固定電話を一切使わず、手持ちのPHSで遣り繰りすることは無理なので、実に忌ま忌ましい思いで電話代を払い、開通させた。最近話題になっているIP電話とは、どういう仕組みなのだろう。「施設設置負担金」の返還を求めて裁判する根性もないので、NTTとは縁を切る方策を探りたい。
 わたしは想像する。「南の詩的論争家」は、これまで勤務していた塾で新聞を「塾読」するので、個人では新聞を取っていなかったそうだが、わたしは大量のゴミのもとになる新聞を廃して久しい。ニュースはTVとインターネットで見る。これで電話を「契約解除」され、世の中で流通する情報の一切から遮断されて、暗い部屋でポツネンとしているわたしの姿を想像すると、なかなか迫真的な老後像が出来上がるようだ。もっとも、それは果して「老後」のことだろうか(電気を止められたことはないが、あれは勝手に繋げないものなのか。水道は、自分で弁を開けられる気がする)。


comment

いつも画像が素敵ね。

電話料の話はとてもおもしろかったです。前のに増してね。でわでわ。ファンより。

  • 河合民子
  • 2005/05/03 1:01 AM

影山さん、こんにちは。また、いい男の写真見せてくださいね。NTTとは、自動支払いにしないで再三催促を受け、時に電話を止められる優良ならざる顧客のわたしですが、はっきりダメ企業と断言できるのがKDDIです。ADSLにする際や、海外のローミングサービスの代金を巡って、たびたび遣り合いましたが、まあこの会社はヒドイ。何がヒドイかというと、電話を受ける相談員が何にも分からず、マニュアルの棒読みで、他の可能性をまったく考えない。モメルと専門の担当が出て来ますが、この人ともう一度話し合うには、こちらからの電話ではつながらない。相談員は交換手と化し「担当が電話するから、それを待て」というが、では「いつ電話してくれるのか」聞くと「明言できないが、二、三日うちには」などと平気で言う。温厚なわたしも爆発しそうになりましたね。こちらは電話相談しているのではなく、顧客として明確な答が欲しいのだ。社内の連絡があまりに悪いので、どうしてこんなことになるのか、グループの責任者らしき人物を問い詰めたら「KDDとDDIというふたつの会社が合併したが、いまだにふたつのシステムが分離したまま動いているので、しようがない」とヤケクソのように言ってました。わたしは笑ってしまいましたが、これが情報通信の大企業の実態らしいです。電話してもっとも明確に対応してくれるのは、わたしの場合パナソニックで、以前は松下やナショナルのイメージが強く、カメラやパソコンなど買う気にもなれませんでしたが、今ではすっかりファンになってしまいました。

  • kuninori55
  • 2005/05/02 2:56 PM

ヨーロッパ・ツアーお疲れさまでした。

山崎さんのブログ、いつも興味深いお話し満載で、
楽しく読んでいます。
リンクまで貼っていただいて、ありがとうございます。

実は私、NTTと相性が悪くケンカになりそうだった事が
幾度かありました。(実際、NTTのミスが原因)
担当の人にもよると思うのですが、企業としての問題も
大きいのでしょうね。










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