2019/09

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 先日の浜野監督の出版記念会には、わたしがかつてエロ劇画誌の編集をしていた頃(二十年ぐらい前のことだ)からの古い友人である塩山芳明君と多田正良君も来てくれた。多田君は一水社という出版社の漫画編集局長で、彼のエロ本の出版状況をめぐる鋭い分析には、いつも唸らされて来たが、一方で常時負債を抱えるギャンブラーという、もうひとつわたしには分かりにくい一面を持つ。
 塩山君は「漫画屋」というエロ漫画専門の編集プロダクションの社長(社員は二人ぐらいしかいない)だが、毒舌で業界に知らない者のいない悪役編集者だ。「愛されて死ぬよりも、憎まれて生きるほうがマシ」がモットーで『嫌われ者の記』『現代エロ漫画』という2冊の著書を持つ(いずれも一水社刊。つまり多田君の会社だ)。
 セクシュアリティ研究会で知り合った守如子(もり・なおこ)さんは、いくつもの大学で講師をしながら、御茶ノ水女子大大学院で先ごろ博士論文「女性向けポルノグラフィの社会学的分析―女性の性的欲望をめぐって―」を完成させたが、昨年暮れ、守さんに多田・塩山の両君を紹介し、インタビューが行われた。どれほど守さんの役に立ったか分からないが、エロ本人脈が女性研究者の博士論文にいくらかでも貢献できたなら嬉しい。
●漫画屋HP
http://www.linkclub.or.jp/~mangaya/

ハワイ

 守さんも出版記念会に来てくれたが、もう一人、わたしと一度しか会ったことがないのに、会費7千円を敢然と出して参加してくれたのが「大衆食堂の詩人」遠藤哲夫さんだ。通称「エンテツ」(エンタツにあらず、といってもある世代以上にしか通じないか)。『汁かけめし快食學』(ちくま文庫)の著者だが、昨年暮れに塩山君を囲む忘年会を、南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)氏が企画した際に(一人でシオヤマに会うのはコワイが、一度遠目に見てみたい、という人が結構いるらしい)わたしは初めてエンテツさんにお会いした。今回声をかけたら、気楽に来てくれたのだが、多田・塩山の両君に守さん、エンテツさん、それに店を閉めてから駆けつけてくれた「地方の本」の専門店「書肆アクセス」の畠中恵理子さん(共著書に『神保町「書肆アクセス」半畳日記』無明舎出版刊)などが一団となって、「料理が不味い!」(byエンテツ)と気勢を上げながら、大いに飲みかつ喰ったらしい。
 わたしは司会進行で汗だくになり、料理の片鱗すらも目にすることがなく、また彼らの楽しい語らいに加わることもできなかったが、それはさておき、エンテツさんのブログに「ザ大衆食堂つまみぐい」がある。「気どるな、力強くめしをくえ!」と扇動する実に愉快なブログなのだが、わたしはこれを見ているうちに、このような明確なテーマとメッセージ性を持ったブログを真似してみたいと思うようになった。
●エンテツさんのブログ
http://enmeshi.way-nifty.com/meshi/

ベルリン

 ここに至って、ダラダラ続いてきた人物紹介のような文章の各所が、ようやくリンクしてくるのだが、シオヤマ編集の月刊エロ漫画誌『レモンクラブ』に、わたしが昨年から連載している1Pコラムがあり、これのテーマが、わたしのピンク&薔薇族映画とフェティシズムなのである。「尾崎翠とフェティシズム」はわたしにとって肝要なテーマであり、おいおい考えて行きたいのだが、わたしはそれとは別に「笑えるフェティシズム」の研究を行いたいと考えるようになった。素材は『レモンクラブ』の連載である。
 当初、この「影への隠遁」とは別のブログを設け、リンクすることを考えたのだが、もうひとつ作るにはまた費用がかかるという。数千円のレベルであっても、経済困窮に喘ぐわたしのよく為せるワザではない。そこで、このブログの中にシリーズ企画として「愉快なフェティシズム研究」をアップすることにした。なお、『レモンクラブ』の連載は<エロ映画監督山崎邦紀の「初老男のボッキ時」>という物凄いタイトルが付いているが、これはわたしのピンク映画の上映会にやってきたシオヤマが、作中の男たちにボッキしない事態が頻出するところに着目したもので、確かにそれもまたわたしのフェチへの傾斜を物語っている。
 なお、エロ漫画誌の読者向けコラムを、尾崎翠の名前を掲げたブログで披瀝するのに躊躇いがないでもなかったが、最近やはりブログを開始した沖縄の作家・詩人で、居酒屋「レキオス」主人の河合民子さんの掲示板で若干の不安を書き込んだところ、面白がってくれた。これもひとつ後押しになったが、応援してくれそうな人に漏らしてみるものだ。
●河合さんのブログ
http://navy.ap.teacup.com/showmyn/

 もっとも、エロ漫画誌のコラムも馬鹿にできないので、大阪大学大学院で尾崎翠を研究していた石原深予さんが初めて連絡をくれたのも、シオヤマの漫画屋経由だった。『第七官界彷徨・尾崎翠を探して』の完成後、稲垣真美氏への罵倒をやはりエロ漫画誌で毎号書き連ねていたわたしのコラム(エロ目的の一般読者には迷惑だったろうが、シオヤマ編集長は「活字ページなんて、どうせ誰も読まねえ」と平気なものだった)を、深予さんの親戚の男の子が目に留め「たしかミヨねーさんの研究している作家じゃないか」とそのページを破って深予さんに上げたのだという。大変丁重な手紙が漫画屋から回送されてきたが、エロ漫画の編集部に古式ゆかしい手紙を書き送る深予さんも、かなり大胆不敵だと思った。以来、ずっと交流が続いている。
 というわけで、なんだか長い長い言い訳のような「愉快なフェティシズム研究」開始の弁である。


comment

じじおっひお89うy89う

  • 56
  • 2005/04/13 4:27 PM

石原さん「赤いポストみたいなの」笑ってくれて嬉しいです。あれはミシガンの路上の消火栓ですが、ほとんど自画像みたいな気分で撮りました。もしわたしの葬式が行われ、わたしがそれに口を出すことができたなら、貧しい祭壇の「遺影」に使ってもらいたいもんだと思っています。エロ本の読者のなかに、案外に女性の愛読者が少なくないこと、それも頭が良くって感覚的に図抜けたタイプが存在することは、シオヤマにも聞いていました。彼の「どうせ活字ページなんて、誰も読まない」は主要購読者であるエロ漫画ファンの多くは読まないので、売り上げには関係ない、という意味です。それまで『漫画バンプ』という、今では廃刊になってしまったエロ劇画誌(昔ながらの劇画チックな絵柄の漫画誌)に長い間コラムを連載していたわたしが、新しく『レモンクラブ』(今風の「美少女」漫画)で連載を始める時、「こっちはIQ高い読者がいるから気をつけろ」とアドバイスを受けたものです。石原さんのお友達も、このタイプの読者なのでしょうが「女の友達がエロ本愛読してるなんて言ったら、キミまで変に思われる」という忠告は、果たして当たっているのかどうか? それ以前に、エロ本編集部に奥ゆかしいお手紙を頂いた時点で充分に「変わった人であるなあ」と思いましたが、そんなちょっと世間離れした忠告をしてくれる友達思いの友達って素敵だと思います。よろしくお伝えください。

石原です。山崎さんの愉快・痛快な文章のファンのわたしとしては、ブログ開設たいへん嬉しいです。写真もいいですねえ。赤いポストみたいなのとか笑いました。クラゲや木の写真はここちよいです。ところで、わたしはやはり嘘をついていたようです。わたしに「レモンクラブ」の記事をくれたのは女性の友人です。彼女の妹(当時高校生)がレモンクラブを購入しており、友人は活字中毒者なので、レモンクラブの活字も読んでました。(シオヤマさんのおっしゃってることとは違い、友人は「エロ本の活字ページは面白い文章が多いよー」と当時も今も言ってます)で、わたしにレモンクラブの山崎さんエッセイページをくれたのですが、「ミヨさん、女の友達がエロ本愛読してるなんて言ったら、ミヨさんも変なやつだと思われるかもしれないよ、レモンクラブは男の子から教えてもらいましたって言うんだよ」当時、多分その友人の忠告どおりに、山崎さんには男の子からレモンクラブもらったとお伝えしたのではないかと。すいません。嘘です。ちなみにその友人姉妹とは今も仲良くしています。

  • 2005/03/14 9:41 PM

ヤマザキさん

さっそく当ブログの話のネタにさせていただき、トラックバックもさせていただきました。よろしく〜

また飲みましょう。

  • エンテツ
  • 2005/03/05 11:13 AM









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