『こほろぎ嬢』お正月公開を南会津の共同浴場から遠望す。
- 2006.12.30 Saturday
- 06:26
降っていた小雨が、ふっと雪に変わったりするなかを、山あいの温泉の共同浴場から歩いて帰ってくる。片道30分弱の距離だ。途中で、道路に面した山側に、猿の群れがいるのを目撃して唖然とする。枝の先の何かをムシって食べているが、わたしの子供時代(何十年前のことだ?)には見たこともない情景だ。老親に聞くと、近年、里に降りてきて野菜を食い荒らし、相当の被害が出ているとか。
映画『こほろぎ嬢』お正月ロードショー。
東京・下北沢のミニシアター「シネマアートン下北沢」で、1月4日(木)〜19日(金)まで、1日3回上映。午後1時30分/3時30分/5時30分。
初日1月4日の一回目の入場者には、舞台挨拶をする石井あす香さんより、鳥取県東京事務所提供の「二十世紀梨キャラメル」や岩美町製作の「尾崎翠ゆかりの地絵図」などがプレゼントされる。
夕方、窓を開けたら、あたり一面の雪景色で、瞬時の変わりように驚く。雪国ではこんな速度で雪が降り積もっていくのだ。猿の群れも楽ではないだろう。昨年の記録的な大雪では、正月に帰省した際、雪に埋まった実家の雪かたしに往生したが、今年、数日前にバスから降りたらまったく雪が無く、雨が降っているのには拍子抜けした。これは楽な正月になりそうだと思ったのだが、正月中はともかく、1月には屋根の雪降ろしや、家の周囲に落ちてうず高く堆積する雪の片付けにやってくることになるだろう。
映画『こほろぎ嬢』のチケット。
●前売り券=1,500円
インターネットの申し込みは旦々舎。
http://www.h3.dion.ne.jp/~tantan-s/
劇場での購入はシネマアートン下北沢。
http://www.cinekita.co.jp/
●当日券(劇場のみの取り扱い)
一般=1,800円/学生1,500円/小・中・シニア=1,000円
南会津の実家に帰っている。わたしが生まれたのは、現在実家のある村役場(今年から合併して支所となった)のそばではなく、山あいの温泉の方なのだ。温泉が産湯だったというが、憶えているわけではない。しかし、尾崎翠の「無風帯から」に何がなし親近性を覚えるのは、そんなところに理由があるのかもしれない。共同浴場は、建物は変わったが、わたしが生まれる以前から同じ場所にあるという。老親の手伝いに帰ってくることが増えたが、案外、産湯をつかった温泉に入ることが、わたしを動かしているに違いない。
すべての役者が下北沢にやってくる。
劇場での舞台挨拶&トークに、倉吉から出演の平岡典子さん(売店の女の子)をのぞく、すべての役者が、日替わりでシネマアートン下北沢に集結する。1月4日、初日の石井あす香さんだけが1回目の上映(13:30〜)前に舞台挨拶を行い、それ以降のトークは、すべて3回目の上映(17:30〜)の後に行なう。(浜野監督は毎回登場)。
●スケジュール
4日(木・初日)石井あす香(町子)
6日(土)石井あす香(町子)
7日(日)吉行和子(松木夫人)+大方斐紗子(祖母)
13日(土)鳥居しのぶ(こほろぎ嬢)+宝井誠明(九作)+外波山文明(松木氏)+野依康生(当八)
14日(日)イアン・ムーア(シャープ氏)+デルチャ・M・ガブリエラ(マクロード嬢)+リカヤ・スプナー(友人)+ジョナサン・ヘッド(友人)
19日(金・楽日)片桐夕子(産婆学の暗記者)+鳥居しのぶ(こほろぎ嬢)
共同浴場に浸かりながら、『こほろぎ嬢』のお正月ロードショーについて「mixi」では盛んに書き込みながら、このブログではさっぱり触れていないことに気づく。どうもわたしは、サウナやプールのなかでないと沈思黙考できない習慣がついているようだ。机に向かって本を読むこともできず、電車内などもっぱら移動中に読む。貧しい読書だ。人気のない共同浴場で、改めて「mixi」とブログの(自分にとって)悩ましい関係について考える。
音楽監督の吉岡しげ美さんも来館しトーク。
茨木のり子、与謝野晶子、金子みすゞなど女性詩人の詩に歌をつけて歌ってきた吉岡しげ美さん。浜野監督とのコンビも『第七官界彷徨−尾崎翠を探して』『百合祭』そして『こほろぎ嬢』と3作目となるが、今回もっとも大きな手応えを感じているとか。
●スケジュール
1月8日(月・祝)3回目の上映後。
ブログは、なんとなくテーマがある場合、日常生活に近いものは「mixi」というつもりでいたのだが、実際には知人友人、同好の方々のダイレクトな応答のある「mixi」に気を取られがち。以前、Yummyさんが、外部の検索に引っかからない「mixi」の閉鎖性を指摘し、エンテツ氏はエンテツ氏で、囲われた仲良しクラブには入らないぞ! 風の吹きすさぶ荒野に、俺は独り立つ(意訳)と咆哮していた。わたしはそのへん中途半端。「mixi」内での、親しみを伴なった意見交換や情報の伝播に、貴重なものを感じているのは確かだ。
創樹社版『尾崎翠全集』(1979年)の編集長と校閲者が来館。
今は無き文芸出版社の創樹社。その玉井五一編集長といえば、わたしにとって伝説的編集者だ。尾崎翠再評価のはるかな狼煙を1960年にあげた花田清輝とともに、新日本文学会で活動し、創樹社を樹立後は深沢七郎、富士正晴、そして花田清輝の名著『冒険と日和見』などを、斬新な装丁で世に送り出した。安倍公房など戦後派の文学者と親交が深い。
尾崎翠全集は「責任編集=稲垣眞美」となっているが、思想史家の藤田省三氏と、当時岩波書店の校閲部に在籍した田中禎孝氏が、玉井氏に全集出版の企画を持ち込み、玉井氏の決断で実現したもの。田中氏は「校異・解題」を担当したのみならず、作品発掘でも協力した。「こほろぎ嬢」など重要作品を発掘した日出山陽子さんも「年譜」の製作に従事している。
こうした協力者を振り捨て、稲垣氏のワンマン体制になった筑摩書房版『定本全集』が、全集として致命的な欠陥を抱えていることは、これまで繰り返し指摘してきた。
最初の全集発刊時、未知なる天才だった尾崎翠の全集が、どのように成立して行ったか、その初心を玉井五一氏と田中禎孝氏にお伺いしたいと思う。
●スケジュール
1月11日(木)3回目の上映後。
南会津の雪は、一晩で膝より高く積もり、翌日の午前には除雪のブルドーザーが出陣してくる手際のよさ。さすが慣れている。しかし、雪は降り止まず、2日目の夜になると、屋根に積もった雪が轟音とともに滑り落ちるのが聞えてくる。正月中は大丈夫と思ったわたしが、素人だった。これは大晦日や元旦にも雪かたしをしなければならないだろう。
弟がやってくる。お互い、いい年になった兄弟だが、わたしは子供時代と変わらず兄貴風の口の利き方をしている。それが自然と思っているが、いつまで経っても年が逆転することのない兄を持った弟というのは、結構うっとうしく感じるものではないだろうか。彼がどう考えているかは分からない。わたしほど温泉や共同浴場が好きでないらしいのは、生まれて間もなく今の地に引っ越してきたせいか。
来年はこのブログの再建に取り組もう。
映画『こほろぎ嬢』お正月ロードショー。
東京・下北沢のミニシアター「シネマアートン下北沢」で、1月4日(木)〜19日(金)まで、1日3回上映。午後1時30分/3時30分/5時30分。
初日1月4日の一回目の入場者には、舞台挨拶をする石井あす香さんより、鳥取県東京事務所提供の「二十世紀梨キャラメル」や岩美町製作の「尾崎翠ゆかりの地絵図」などがプレゼントされる。
夕方、窓を開けたら、あたり一面の雪景色で、瞬時の変わりように驚く。雪国ではこんな速度で雪が降り積もっていくのだ。猿の群れも楽ではないだろう。昨年の記録的な大雪では、正月に帰省した際、雪に埋まった実家の雪かたしに往生したが、今年、数日前にバスから降りたらまったく雪が無く、雨が降っているのには拍子抜けした。これは楽な正月になりそうだと思ったのだが、正月中はともかく、1月には屋根の雪降ろしや、家の周囲に落ちてうず高く堆積する雪の片付けにやってくることになるだろう。
映画『こほろぎ嬢』のチケット。
●前売り券=1,500円
インターネットの申し込みは旦々舎。
http://www.h3.dion.ne.jp/~tantan-s/
劇場での購入はシネマアートン下北沢。
http://www.cinekita.co.jp/
●当日券(劇場のみの取り扱い)
一般=1,800円/学生1,500円/小・中・シニア=1,000円
南会津の実家に帰っている。わたしが生まれたのは、現在実家のある村役場(今年から合併して支所となった)のそばではなく、山あいの温泉の方なのだ。温泉が産湯だったというが、憶えているわけではない。しかし、尾崎翠の「無風帯から」に何がなし親近性を覚えるのは、そんなところに理由があるのかもしれない。共同浴場は、建物は変わったが、わたしが生まれる以前から同じ場所にあるという。老親の手伝いに帰ってくることが増えたが、案外、産湯をつかった温泉に入ることが、わたしを動かしているに違いない。
すべての役者が下北沢にやってくる。
劇場での舞台挨拶&トークに、倉吉から出演の平岡典子さん(売店の女の子)をのぞく、すべての役者が、日替わりでシネマアートン下北沢に集結する。1月4日、初日の石井あす香さんだけが1回目の上映(13:30〜)前に舞台挨拶を行い、それ以降のトークは、すべて3回目の上映(17:30〜)の後に行なう。(浜野監督は毎回登場)。
●スケジュール
4日(木・初日)石井あす香(町子)
6日(土)石井あす香(町子)
7日(日)吉行和子(松木夫人)+大方斐紗子(祖母)
13日(土)鳥居しのぶ(こほろぎ嬢)+宝井誠明(九作)+外波山文明(松木氏)+野依康生(当八)
14日(日)イアン・ムーア(シャープ氏)+デルチャ・M・ガブリエラ(マクロード嬢)+リカヤ・スプナー(友人)+ジョナサン・ヘッド(友人)
19日(金・楽日)片桐夕子(産婆学の暗記者)+鳥居しのぶ(こほろぎ嬢)
共同浴場に浸かりながら、『こほろぎ嬢』のお正月ロードショーについて「mixi」では盛んに書き込みながら、このブログではさっぱり触れていないことに気づく。どうもわたしは、サウナやプールのなかでないと沈思黙考できない習慣がついているようだ。机に向かって本を読むこともできず、電車内などもっぱら移動中に読む。貧しい読書だ。人気のない共同浴場で、改めて「mixi」とブログの(自分にとって)悩ましい関係について考える。
音楽監督の吉岡しげ美さんも来館しトーク。
茨木のり子、与謝野晶子、金子みすゞなど女性詩人の詩に歌をつけて歌ってきた吉岡しげ美さん。浜野監督とのコンビも『第七官界彷徨−尾崎翠を探して』『百合祭』そして『こほろぎ嬢』と3作目となるが、今回もっとも大きな手応えを感じているとか。
●スケジュール
1月8日(月・祝)3回目の上映後。
ブログは、なんとなくテーマがある場合、日常生活に近いものは「mixi」というつもりでいたのだが、実際には知人友人、同好の方々のダイレクトな応答のある「mixi」に気を取られがち。以前、Yummyさんが、外部の検索に引っかからない「mixi」の閉鎖性を指摘し、エンテツ氏はエンテツ氏で、囲われた仲良しクラブには入らないぞ! 風の吹きすさぶ荒野に、俺は独り立つ(意訳)と咆哮していた。わたしはそのへん中途半端。「mixi」内での、親しみを伴なった意見交換や情報の伝播に、貴重なものを感じているのは確かだ。
創樹社版『尾崎翠全集』(1979年)の編集長と校閲者が来館。
今は無き文芸出版社の創樹社。その玉井五一編集長といえば、わたしにとって伝説的編集者だ。尾崎翠再評価のはるかな狼煙を1960年にあげた花田清輝とともに、新日本文学会で活動し、創樹社を樹立後は深沢七郎、富士正晴、そして花田清輝の名著『冒険と日和見』などを、斬新な装丁で世に送り出した。安倍公房など戦後派の文学者と親交が深い。
尾崎翠全集は「責任編集=稲垣眞美」となっているが、思想史家の藤田省三氏と、当時岩波書店の校閲部に在籍した田中禎孝氏が、玉井氏に全集出版の企画を持ち込み、玉井氏の決断で実現したもの。田中氏は「校異・解題」を担当したのみならず、作品発掘でも協力した。「こほろぎ嬢」など重要作品を発掘した日出山陽子さんも「年譜」の製作に従事している。
こうした協力者を振り捨て、稲垣氏のワンマン体制になった筑摩書房版『定本全集』が、全集として致命的な欠陥を抱えていることは、これまで繰り返し指摘してきた。
最初の全集発刊時、未知なる天才だった尾崎翠の全集が、どのように成立して行ったか、その初心を玉井五一氏と田中禎孝氏にお伺いしたいと思う。
●スケジュール
1月11日(木)3回目の上映後。
南会津の雪は、一晩で膝より高く積もり、翌日の午前には除雪のブルドーザーが出陣してくる手際のよさ。さすが慣れている。しかし、雪は降り止まず、2日目の夜になると、屋根に積もった雪が轟音とともに滑り落ちるのが聞えてくる。正月中は大丈夫と思ったわたしが、素人だった。これは大晦日や元旦にも雪かたしをしなければならないだろう。
弟がやってくる。お互い、いい年になった兄弟だが、わたしは子供時代と変わらず兄貴風の口の利き方をしている。それが自然と思っているが、いつまで経っても年が逆転することのない兄を持った弟というのは、結構うっとうしく感じるものではないだろうか。彼がどう考えているかは分からない。わたしほど温泉や共同浴場が好きでないらしいのは、生まれて間もなく今の地に引っ越してきたせいか。
来年はこのブログの再建に取り組もう。
「こほろぎ嬢」は下北沢でやっているうちに見に行きたいと思っています。ダサイ文化都市さいたまでも上映をお願いしますよ。
今年こそは、翠の映画みたいと思います。
本年も宜しく、です。