2017/07

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 先月下旬、1週間ほど南会津に滞在し、植物の雪囲いなどをせっせとやった。月末に帰京し、滞っていた打ち合わせなどを行って、ようやく今週から西新宿の寓居、すなわちワンルームに落ち着いた。見世物学会のテーマに、確か「仮設」があったが、ワンルームなんていうのも仮設の住居にほかならず、わたしもまたテキヤ諸氏同様、移動と仮設の日々のような気がしてならない。


<野岩鉄道会津鬼怒川線>

 老親宅も西新宿も、わたしにとって同じ仮住まいなら、行動パターンもほとんど似通っている。南会津では毎夕、自転車で20分ほどの湯の花温泉の共同浴場に通ったが、こちらでも自転車で歌舞伎町のスポーツセンターに行き、サウナ&プールでお風呂代わり。どうやら、わたしにとってお湯や水、蒸気に裸で浸かっている時だけが、沈思黙考の時間らしい。
 といって、ろくなことは考えない。屋上の流れるプールで泳ぎながら、良からぬ企みを思いついた。帰りに三越の上のジュンク堂に寄って、マイミク岩崎眞美子さんの和暦の新著を買うつもりだが、これを熟読玩味してピンク映画に応用できないだろうか? 眞美子さんにぶっ飛ばされそうだが、わたしのピンクの次回作で、アンドロイド物を久しぶりにやってみたいという希望に、会社側が拒絶を示しているらしい。もう好き勝手にさせないという構えらしいが、ならば和風の暦をメインテーマに取り入れたら、そうとうシックなピンクになるではないか。
「何だってピンク映画になる、ピンク映画にならないものはない」という浜野監督の、いやにキッパリした言葉に乗せられて、この業界に入ったのは何十年前のことだろう。そのくせ、最近では浜野組のための企画案を出すと「そういう奇天烈なことはヤマザキ組でやってくれ」とあっさり却下されることが多くなった。浜野監督も普通の、王道を歩む監督になったのだろう。
 そのせいでもないだろうが、今週末の日曜日(9日)夜、NHK教育テレビのドキュメンタリー番組、ETV特集『愛と生を撮る〜女性監督は今〜』に、浜野監督が出演する。1時間半の堂々たる番組で、カンヌ映画祭でグランプリをとった河瀬直美監督や、新進気鋭の若手、例えば『ゆれる』の西川美和監督や『さくらん』の蜷川実花監督など、ここ数年台頭してきた女性映画監督のムーブメントを捉えた企画だ。
 異色のキャリアを誇る浜野監督とはいえ、ピンク映画はあまりにもNHK的ではないうえ、『第七官界彷徨−尾崎翠を探して』をはじめとする一般映画3本も、商業ベースに乗らない自主制作である。刺身のツマにされるのが落ちだろうと思っていたのだが、森信潤子ディレクターは浜野監督がデビュー以来撮った300本超って、いったいどれぐらいの量なのだと興味を持ってくれたらしい。セクシュアルなテーマの延長線上にある『百合祭』を中心に、そうとう突っ込んだ取材をしてくれた。ちょうど仙台市のシルバーセンターで『百合祭』を2日間で8回上映するというもの凄い試みがあり、これにも取材クルーを派遣してくれるなど、多彩な内容になっていると思われる。
 この企画を聞いた浜野組の某スタッフ曰く「フランス帰りのシェフの、評価は高いけれど誰もが美味いとは思わない高級レストランと、下町で長年営業してきた、安くて旨くて量の多い定食屋の対決でしょうか」。言い得て妙だと、わたしは感心したが、浜野監督は「あたしは定食屋のオバチャンか!」とブンブン怒っていた。
●放映予定日=12月9日(日)午後10時〜11時30分。NHK教育TV。ETV特集『愛と生を撮る〜女性監督は今〜』
http://www.nhk.or.jp/etv21c/index.html

 
<9月27日仙台市シルバーセンターで『百合祭』上映の合間に、NHKクルーの取材を受ける浜野監督>

 歌舞伎町のスポーツセンターを出たわたしは、ジュンク堂新宿店に向かった。目指すは眞美子さんの新著である和暦の本。確か学研が版元だった。正式タイトルは忘れたが、それだけ分かっていればすぐ見つかるだろうと、高をくくって7階へ。ところが、これがなかなか発見できないのだね。歴史か民俗の関係だろうと見当をつけ、その辺りの書棚を見るが、無い。民俗学の棚に和暦や旧暦の本はあるが、見当たらないのだ。やむなく店内のパソコン検索で<岩崎眞美子−和暦−学研>を打ち込んでみるが、何も引っかからない。もしかしたら学研のシリーズのコーナーでもあるかと探してみたが、これも見当たらなかった。書棚の間をウロウロしているうちに、サウナとプールで2キロ減量した直後だけに、眩暈がしてくる。(帰って、ジュンク堂のHPで検索してみたら「和ごよみ」一発で、眞美子さんの新著がトップに出てきた。これは池袋店のデータであり、本が多いと宣伝している新宿店のデータ化は遅れているのではないか)
 しょうがない。はす向かいの紀伊国屋にでも寄ってみるか、しかし、これだけの本を揃えていて、発行されたばかりの本が無いはずは無いのだが、と思いつつ、もうひとつ目当てにしていたサイードの『晩年のスタイル』だけ買う。わたしも晩年を意識すべき時期であろうが、今年急死された佐藤真監督の遺作がサイードのドキュメンタリーだった。佐藤監督の発病に日本映画監督業界の男根どもが少なからず関わっているに違いないと、遠くからわたしは睨んでいる。佐藤監督の世界に向かい合いつつ、業界の男根ぶりを明らかにする方法はないか。サイードの本、初めて買ったが、岩波書店発行で、大江健三郎の自筆がカバーに印刷されていたのには、理由もなく少々気落ちする。
 エレベーターに向かいながら、ふと気づいた。暦なら実用書や生活関連のコーナーに入っている可能性があるのではないか。エスカレーターで8階に昇る。さすがに来年のカレンダーのところにはなかったが、暮らしのコーナーに、やはり在りましたね! 書棚の中に、正面向きにどっさり立てられている。『しあわせを呼ぶ 和ごよみ』。これが正式タイトルだ。縁起のよい贈り物のような装丁で、ピンク映画に仕立てようというような大それた目論見はいささか外れるが、パラパラ目を通すと、わたしが目下取り組んでいる南会津の裏庭の整備と、植物たちの生育にとって、貴重な示唆をもたらしてくれそうだ。
 眞美子さんの「自然を人間に合わせるのではなく、人間が自然に合わせる暦を!」という主張に全面的に賛同する。また、巻頭の一文のなかの「過去の人々が、日々の生活を大切に、しあわせに生きたいと願った心があったから、今のわたしたちはここに在ることができるのだと思うからです」という言葉には、心に深く響くものがあり、ジンと来た。わたしが植物の現物にマジで向かい合うようになったのは今年からだが、どこか心向きが変わってきているようにも思える。


<岩崎眞美子/サイトウトモミ(イラスト)著『しあわせを呼ぶ 和ごよみ』Gakken発行。1300円税別>

 とはいっても、植物にはまったく素人のピンク映画監督ですからね。花や木が雪の下になって、枝が折れたりペシャンコになったりしないよう、杭を打って支え、枝に園芸用の紐をかけて雪の重量がかからないようにするのだが、やってるうちにだんだんグルグル巻き状態になってくる。去年まで放置していた裏庭の隅っこの椿など、雪の圧力に負けて地べたを這うように枝を伸ばしているのだが、これをギューギューまとめ上げ、天に向かって無理やり直立させた。そして近くの木の枝に引っ張って結わえ付ける。改めて見直してみると、さながら植物の緊縛ショーになってしまった。



 幹自体が曲がっている椿の、這いつくばっていた枝を何本もの紐で上方にまとめ、強引に直立させているのがお分かりだろうか。この細い紐で、いったい雪の重量に対抗できるものか、今年の冬にはじっくりと観察したい。



 上の椿を裏から見ると、こうなる。支柱を立てる代わりに、周囲の木に紐を伸ばして括りつけた。危ういバランスを保っているようにも見える。雪の重みで一本紐が切れたら、逆の側にずるずる倒れこんでいきそうだ。



 これぞ素人園芸のきわみ。カエデの大きな木の枯れた枝を、鋸で切り落としたのだが、その切り口の近くに、以前雪にへし折られた枝の根元が複雑なウロになって、雨や雪が溜まるようになっていた。放っておくと、腐食しそうだ。そこでガムテープをベタベタ貼って栓をしたのだが、見苦しきこと、このうえなし。


comment

>「客をどやしつける定食屋のオバチャン」にピッタシと
こんちは、kuninori55 さん。
うちの近所にも、居ます夜。『あんた、もう帰り〜!』って酔っ払いの常連さんに、カミナリイ落としたそのクチで、別の贔屓の客の『何処其処に旅行行くねん?』って言われて、『わたしも行きたいわ〜!』って、甘いセリフを吐くツワモノ・・。もしかしたら、監督もそういう類の「秘と」ですかね?

>こういうところへ行く男の客は、オバチャンに「バカ」「ドスケベ」「おまえはチンポあるのか」といじめられるのが楽しみ

エンテツさんのお話も鋭い!っていうか、ネット上にも居るなあ〜と思いました。だから『ハムニダ薫』さんや『お玉』さんのところに色々な「否と」が行くんだ、とか・・。来られる方は迷惑でしょうが、たのしんでいることもある・・。

あ、ところで朝日の先週の書評が、ネットに出てまして、「食通小説の記号学」[著]真銅正宏さん。
http://book.asahi.com/review/TKY200712040248.html
kuninori55 さん向きかなって思いました。
# midori (16)# kiyoteru (5)、どっちかのカテゴリーで是非一筆、書いてくださいよ。お時間があれば。
定食屋のおばちゃん、っていう隠し味も、味覚に影響するンでしょうね? 
もしかしたら、これでNHKの朝どらpンク、描けるかも? 
てへ。

  • 三介
  • 2007/12/09 3:46 PM

エンテツさま
 お久しぶりです。ブログはいつも拝読し、特にこのところのご活躍ぶりには目を見張っています。つい先日まで大兄渾身のルポが掲載されている『雲のうえ』を有料だと思い込み、どこで買えるのかボンヤリ考えていました。無料配布のPR誌だと知り、福岡の映画サークルの友人たちに入手を依頼したところです。
 浜野監督も、大衆食堂の詩人に「客をどやしつける定食屋のオバチャン」にピッタシと折り紙をつけて頂いたのですから、もって瞑すべきでしょう。さすがに「キンタマついてるのか」なんて言葉は聞いたことがありませんが、先日も若いスタッフに撮影現場で「お前みたいな才能のないやつは、とっとと荷物まとめて田舎に帰れ」と罵倒していました。昨今のスタッフは定食屋のお客のように人間が練れていないので「分かりました。帰ります」といって、さっさと現場から帰っていったのはお笑い種でした。
 十二社通りの「千草」の前は、自転車でよく通ります。確かオール定食980円ぐらいでないでしょうか。わたしは入ったことはありませんが、いつも中年男性たちで混んでいるので、きっと美味しいのでしょう。同じ通りの成子坂下方向にもう一軒大衆食堂がオープンしたのですが、影響があるのかどうか。大兄のブログでアジフライがとても旨そうだったので、今度「千草」で食べてみることにします。

大事なことを書き忘れました。浜野監督の「定食屋のオバチャン」、ぴったしの感じ。

食堂にはイロイロあって、その一つに、オバチャンの口が悪く、男の客を「バカ」「ドスケベ」「おまえはチンポあるのか」などとののしるのを「芸」にしているタイプがあります。

こういうところへ行く男の客は、オバチャンに「バカ」「ドスケベ」「おまえはチンポあるのか」といじめられるのが楽しみで行きます。

浜野監督は、そういう「定食屋のオバチャン」にぴったしの感じです。

  • エンテツ
  • 2007/12/08 9:13 AM

どーも、お久しぶりです。たまーに、ブログを書かれると、ながーい文にたくさんのことが詰め込まれているので、どこにコメントしてよいか迷います。

とりあえず、「何だってピンク映画になる、ピンク映画にならないものはない」に、ナルホド。それなら、NHKへの返礼として、朝ドラをピンク映画にするのはどうか。

野岩鉄道、南会津、来春には昭和へ行く予定があるので、足をのばして湯の花温泉へも行ってみたい。

十二社といえば、「千草」という、オバサンが1人でやっている大衆食堂があったのだけど、どうなったのかなあ。

とかとか、とりとめなく。

  • エンテツ
  • 2007/12/08 9:02 AM

三介さま
 積雪の深さと平均密度をかけて荷重を計算するんですね。その厳密さに感動しました。どうもわたしの結んだ紐は、それに耐えられそうにもありません。今年はとにかく観察することにします。
「下町の定食屋」と言われた際の浜野監督のリアクションは、実は愉快そうに笑っていたのです。文章の都合上「怒っていた」ということにしました。本人も「定食屋のオバチャン」で結構! と思っているのではないでしょうか。わたしが「問発」にしてしまったようですね。
 西新宿でも、わたしが住むのは十二社(じゅうにそう)という昔ながらの一帯で、かつては安いアパートがひしめいていて、漫画家なども多かったようです。今では小奇麗に再開発されました。十二社温泉も大きなビルの地下に入っています。
 古い頃に一度取材に行ったことがありましたが、当時は大衆演芸用の舞台などがある昔ながらの温泉でした。今ではすっかり近代化され、サウナなども併設されているようですが、1900円の料金が高いと思い、一度も入ったことがありません。
| kuninori55 | 2007/12/05 2:12 AM |

こんばんは。
>西新宿の寓居
こちらが、今の拠点ですか。
一度だけ、深夜喫茶で夜明かししたことがあります。80年代初期ですから、かなり変わっているんでしょうね。雰囲気としては、大阪の梅田の東側や千日前の裏通りに似てましたね。鉄腕「波平」さんの十三にも少し・・。規模は桁違いに新宿の方が大きぃんでしょうが。
>浜野監督は「あたしは定食屋のオバチャンか!」とブンブン
おやおや、ケッコウ、エリート?意識強いんですね、お堅い人権団体なら『問発』って云いそなリアクション。
>椿など、雪の圧力に負けて地べたを這うように
「建築基準法施行令では平均密度として200kg/m3」つまり10cmの積雪につき、20kg/屬嚢渋し彁擦靴泙后ただ多雪地では、もう少し大きい値↓を使っているようです。
http://www.bosai.go.jp/seppyo/koukai_data/
Yaneyuki/kihon/kajyuu/kajyuu.html
>張って結わえ・・見直してみると、さながら植物の緊縛ショーに
何だか、永井豪さんのギャグ漫画っぽい「枝」ですね。
金沢かどっかで、上から放射状に縄張って、雪よけにするのはよく見ました。アレは松の枝が折れないようにするやつだっかな?
| 三介 | 2007/12/04 11:16 PM |

  • 三介
  • 2007/12/05 3:14 PM









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「洞爺湖にて積雪30cmと想定して設計」

久々に建築の話題。3ヶ月ほど前、こんな↓ブログ記事 植物にはまったく素人のピンク映画監督ですからね。花や木が雪の下になって、枝が折れたりペシャンコになったりしないよう、杭を打って支え、枝に園芸用の 紐をかけて雪の重量がかからないようにするのだが、やっ

  • いわいわブレーク
  • 2008/02/19 11:39 PM