2019/06

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 糞尿譚にはなぜか人を惹き付けてやまないところがあるが、前々回の「男性小用考」に女性二人のコメントを頂いた。沖縄の詩人・小説家の河合民子さんと、京都の尾崎翠研究者のいしはらみよさんが、女性の立ちションの可能性や野外小用について語り、考察を深められているのは、当ブログとして望外の喜びである。



 河合さんが最初「女が立ってすれば(ヤマザキの)悩みも軽減するのでは」と指摘されたのは、男の立ちションに付随している(?)男権性への抵抗が、わたしにあるのではないかと推測されたものか。もちろん自らの男性性の廃棄がわたしの大きなテーマであるものの、小用問題に関しては、お掃除と衛生に関する技術的な関心に他ならない。しかし、立って小用を足す女性の群れが出現すれば、トイレのジェンダー秩序は大いに撹乱され、なんだか楽しそうだ。
 その後、わたしは野外で男同士が並んで立ちションする行為のなかに、ブラザーフッドの確認が含まれるのではないかと考えていたところ、河合さんの第2信によって、女同士で、しゃがんでする「連れション」の快楽が語られた。こちらは自然に溶け込んだシスターフッドの交換で、中国・雲南の体験もそれに相応しいスケールの背景を提供している。こうした野外の女性「連れション」はアジア的といえるのか、それとも欧米、アフリカ、南米などでも見られるのか。男の「連れション」は、ハリウッドの警官映画などで何度も観たような気がする。単調にユニバーサルな感じ。
 一方、いしはらさんが披瀝された、農作業中のお祖母さんの小用風景は、屋外に設置された「朝顔」に、椅子にでも座るかのように後ろ向きに腰掛け、用を足すというもの。立ちションというよりは「屈みション」とも言うべきもので、この姿勢自体はわたしの子供時代にも見かけたものだが、「朝顔」に向かってするところが、はなはだ珍しい。男女共用なのだろうが、しかし畑や田んぼの広がる中に、ポツンと「朝顔」が佇立している景色には、どこか心騒がせるものがある。シュールだ。今でも残っているのだろうか?



 前回、たまたまラブピースクラブのメルマガで読んだ、北原みのりさんのエッセイを枕にふったが、奇しくも最新の3月25日号で、なんと女性用の「立ちション」グッズがふたつも紹介されていた。どちらもアメリカ製で、ひとつは「マジックコーン」。紙製の平たくたたまれたものを広げ、漏斗状(?)にして押し当て、紙容器の内側にオシッコを溜める方式だ。終わったら、小水は地面やトイレに捨て、器も使い捨て。「旅行先やキャンプ、飛行機やクラブなど、便座に座りたくない時」便利だという。「膝がいたくてしゃがめない高齢者の方にもオススメ」。3枚セットで300円也。
 もう一方の「タチション用ディルド」は、ペニス型に成形されたマニアックなもので、作ったのはアメリカの「FTMグッズ専用のメーカー」。FTMというのは「FEMALE to MALE」(女性から男性へ)。女性として生まれながら、男性としての感覚や気持ちを持って生きている人を指す。特に男装した場合に、小用の問題がクローズアップされるが、このディルドは「当事者達による、考え抜かれたデザインと使い心地」だそうだ。医療用のプラスチックで作られており、柔らかなカップを押し当て、密着させ、小水はラテックスチューブを通って外部に排出される。「チューブは、入り口は太めに、安定した流れをつくりだすようにできており、尖端に行くほど、勢いよく尿が飛び出るようにデザインされて」いるそうだ。
 170グラムの軽さで、パンツの下に着用し、歩いたり走ったりしても異和感はない。ラブピースクラブのスタッフが試用したところ、気になったのが、小用が済んだ後、ティッシュを使うかどうかで、さっと軽く拭くことを勧めている。約2年かけて開発され、こちらは9千円也。
●ラブピースクラブHP(syop infomation 参照)
http://www.lovepiececlub.com/



 かくして、河合さんによって提起された女性の「立ちション」というテーマは、古代的な大らかをたたえた女性同士の友愛の可能性から、身体の改変というサイバーパンク的な尖端の光景までを貫くパースペクティブを持つことが明らかになったが(本当か?)しかしわたしはトイレ問題に熱中するあまり、このブログ本来の尾崎翠について何も考察を進めていないではないか。いや、プランもあり、準備もしているのだが、いささか時間が足りないのである。
 ハッタリでない証拠に一例を挙げれば、今関敏子著『<色好み>の系譜−女たちのゆくえ』『旅する女たち−超越と逸脱の王朝文学』を手がかりに、なぜ「第七官界彷徨」の語り手は<小野町子>と名づけられたのか考えてみたい。しかし、明日からはパリ・インスブルック・ベルリンの映画館上映ツアーが始まる。ネット環境が変わるので、果してこのブログを更新できるかどうか、それが問題だ。


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