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<1月に開かれた第4回関西クィア映画祭の会場、HEP FIVEで>

業界の一部で、今回の拙作が「薔薇族映画、最後の作品となるかも」と囁かれている。関西の拠点、大阪の梅田ローズ劇場が昨年10月、男性ヌードショーで摘発されたことも影響していることだろう。(わたしのマイミクは、このショーのライト係を務めていて、御用となったようだ)。
今後、製作が続行されたにしても、本数は少なくなる。愛着のあるジャンルであったが、少なくともわたしに関しては、これが最後の「薔薇」となることは間違いない。

浜野組の脚本担当として、ピンク映画や薔薇族映画をいっぱい作ってきた。ある時期、次第に監督と意見の対立が激化し、「そんなこと言うなら、自分で撮ってみろ!」という捨て台詞(?)で始まったわたしの監督業。助監督修行したわけでもないので、当然浜野組の見よう見まねでしかなかった。しかし、薔薇族映画に出会って、初めてわたしの撮りたいモティーフ、イメージ、手法を発見したように思えた。

亡くなったピンク映画の祖、小林悟監督にスポーツ新聞のライターとしてインタビューをした際、まじまじとわたしの顔を見て「今はピンク映画も、脚本家がいきなり監督するような無茶苦茶な時代となった」と言われ、苦笑するしかなかった。もちろん、わたしが監督できたのは、浜野プロデューサーという旦々舎の枠組みがあったせいである。

監督として10年以上経っても、わたしは相変わらず素人であり、自分から「監督です」と自己紹介することは、まずない。かといって、脚本家というのもおこがましく、どうも自分の職業についてはしっくり来ない。


<新宿西口で。上に見えるのがスバルビルとコクーンビル>

今回の拙作は、黄昏行く心象風景を撮りたいと思った。そこで、たびたび言う『Gods & Monsters』を想起することになったのだが、今になってみると、その頃読んだ『男色(なんしょく)の景色ーいはねばこそあれー』(丹尾安典著、新潮社刊)が反映しているようにも感じる。早稲田の先生らしいが、長年培われた奥深い教養があることはすばらしいことだと、感嘆しながら味読した。

その一方で、私事ながら、わたしの老母がガンによる「不可逆的な死へのロード」を歩んでおり、その反映もないとは言えないだろう。死にゆく宿命は、誰にもあるものだが、その典型を間近から見つめる経験はわたしには初めてであり、あまりにも興味深く、目が離せないところがある。

ジャンルの黄昏、映画館の休館、監督としての落日、老母の衰亡等、わたしの周囲ではしみじみしたことが多く、あまり景気のいい作品とはならなかった。しかし、今回は「カラミはそれほど多くなくてもいい」という配給会社との合意があり、おかげで3日の撮影のうち2日が完全徹夜という恐ろしい現場となったが、現在のわたしと、わたしに協力してくれるスタッフの、最大限やれるところまでは、やった、という実感はある。

明日の舞台挨拶の後は、近辺での打ち上げを予定している。わたしの友人知人の方は、午後1時半に世界傑作劇場の前まで集合してください。打ち上げは言うまでもなく割り勘です。


<わが近所の新宿中央公園のキャンプ村。どういう加減か上下2分割の写真が出来上がった>


comment

コメントありがとうございます。
HP拝見しました。『フェラーラ物語』も大好きな映画でした。ルパート・エヴァレットが大好きなのです。彼の自伝的な小説も愛読しました。
老ゲイと若いハンサムという点では、わたしが今回たびたび例に上げる『Gods & Monsters』とも共通していますね。すっかり忘れていたのは、きっとあまりにも悲痛な救いのない映画だったせいだと思います。
薔薇族映画については、ぼく個人が断念するというよりは、おそらく状況が許さないだろうと考えるからです。
HPではホラーも取り上げていますね。ぼくもホラー好きです。これからもよろしく。

  • kuninori55
  • 2009/03/06 3:02 AM

はじめまして。山崎監督を陰ながら応援している者です。

監督が今後、薔薇続映画を撮ることを断念されるらしい記述を拝見して、胸の奥から込み上げて来る感慨を抑えられずに、ついついコメントしてしまいました。

とは言え、実際にコメントするとなると、何を書いたら良いものやら迷ってしまい、文章がまとまりません。とりあえず、監督をひっそりと応援している人間がいるということだけ、お伝えしておきます。

乱文失礼しました。










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