山道ツーリングで木賊温泉へ

  • 2010.08.09 Monday
  • 04:34
わたしの愛車、スーパーカブを見て、わたしの弟が老父に「地味な実用車だな」と言ったらしい。ふふふ、これは「スーパーカブ但し110」であることを忘れてもらっては困るね。街中を走っているスーパーカブの2倍以上の排気量を誇り、南会津の山岳コース(というほどのものではないが)を楽々走りきるのだ。

 
<檜枝岐と木賊(とくさ)温泉をつなぐ尾瀬小繋(こつなぎ)ラインのトンネル。これが多分、南会津町と檜枝岐村の境界だと思う>

酷暑の京都での浜野佐知監督特集を終えた後、南会津に逃れて老父と一週間暮らした。陽射しは猛烈な暑さだが、渡っていく風が涼しい。朝方など、無意識に布団を探すぐらい寒い。
昼間でもクーラーはなく、窓を開け放して扇風機で充分。過ごすには快適だが、但しスーパーもコンビニも、もちろんレンタルビデオ屋もない。肉や魚やドラフトワン(愛飲ビール)を買うには、バイクで買出しに行かなければならない。


<峠道から南会津方面(多分)を見渡す。尾瀬小繋ラインは、雪のため冬季には通行止めになる>

スーパーカブ但し110を買う前は、自転車でわが生地、湯の花温泉に毎日通っていたが、バイクを手に入れ、行動範囲は一気に広がった。なかでも、湯の花温泉→木賊温泉→檜枝岐温泉をつなぐ山岳コースは素晴らしい。
景色がいいのはもちろんだが、何より対向車がほとんどない! 数十年ぶりにバイクに乗ったわたしの走行練習にピッタリなのだ。登りも降りも急カーブが多いが、少しぐらいふくらんだって平気。もちろん自分ではひやりとするが、ここでシフトダウンすべきだったとか、反省点を頭の中にメモしていく。


<旧伊南村(現・南会津町)の小豆温泉・窓明の湯。サウナや大広間、食堂まである日帰り温泉だ。右手軒下に止まっているのが、わがスパ−カブ但し110>

先日、只見町の「たもかぶ本の店」に行ってコーヒーを飲み、漫画図書館『青虫」で古いマンガでも読んでこようかと、バイクで走り出したのだが、急に雨が降ってきた。空の片方には青空が見えるのに、かなりの勢いで行く手を阻む。
愛車を濡らしたくないわたしは、Uターンして、桧枝岐村に向った。数分走ると、まだ雨が降ってないのにビックリしたが、しばらくするとやはりけっこう降ってきた。
やむなくわたしは、通りかかった小豆温泉・窓明の湯に一時避難することにした。さいわい軒下に駐車するとバイクは濡れない。入場料850円は高いと思ったが、サウナに久しぶりに入れたので納得。


<気持ちのいい下りの直線コース。真っ直ぐ吸い込まれていくような気がする>

雨がやんでいるのを確認して、窓明の湯を出たが、いつ再び降り出すか分からない。雨の中の山岳コースはゾッとしないと思いながら、檜枝岐村→木賊温泉→湯の花温泉経由で帰ることにする。
木賊温泉に着いたときには、雨雲は遠ざかっていたので、予定変更して、木賊温泉にふたつある共同浴場のうちの露天風呂に入ることにした。
実は先日、もう一方の「広瀬の湯」に入った時に、土地の古老から、渓谷を降りた川沿いに露天風呂があるが、今どきは虻がぶんぶん飛んでいて難儀だ、という話を聞いていたのだ。


<かなり急な石段を降りた先に、木賊温泉・岩風呂がある>

わたしが子供の頃、川で泳いでいると、よく虻に刺されたものだが、これが猛烈に痒い。虻が集団で襲来すると聞いて、びびる気持ちはあったが、好奇心もあって、バイクを土産物屋の駐車場に止め、かなりの急斜面の石段を降りていった。
ありましたね、いかにも山の露天風呂といった趣きが漂うバラックだ。



混浴で、女性には入浴衣を貸すという掲示があった。入場は200円以上。「以上」というのが面白いが、もちろんわたしは200円、きっちりだ。
目の前が、すぐ渓流というロケーションも気持ちいい。


<温泉は浴槽の石が転がる底から湧き、奥が熱くて、それが流れてくる手前の浴槽はぬるくなる。間を大きな岩が仕切っている>

この岩風呂を一目見て、ああ、つげ義春が描いたのは、こっちの方の木賊温泉だと思った。昨年だったか、近所の娘さんが木賊温泉の民宿の女将さんとなっていて、一夕イワナの刺し身などをご馳走になったのだが、そのときに木賊温泉では、つげさんがたいへんな著名人であることを知った。
旅のシリーズで、わたしも読んだことがあるような、ボンヤリした記憶しかないのだが、何十年も前につげさんが木賊温泉を訪れ、それをマンガにしているのだ。女将さんは帰りの車の中で、つげさんはこのアングルで風景を描いたなど熱っぽく語ったが、つげさんはご自身がこの鄙びた温泉場で奉られていることをご存知なのだろうか。


<上の写真と逆のアングルから。左手が岩風呂で、右手が渓流>

湯質は熱く、どっしりして、手応えがあり、わたしの好みだ。硫黄の匂いが漂う。
上がり湯や水といった付帯設備はまったくないが、この風景だとそれも納得。しかし、つい長湯して、いつまでも体が熱いのには参った。



熱い温泉でほてった身体で、渓流に足を入れると、実に心地いい。裸だが、この環境だと何の抵抗もない。もっとも女性客があったら迷惑だろうが、この時はわたし以外に3〜4人の男性が出たり入ったりしているだけだった。
虻攻撃は想像したほどではなく、一人の男性客が一匹の虻にシツコクまとわりつかれていた。虻にも何か好みがあるのか?



こちらが先日入った木賊温泉・広瀬の湯。外観は古びているように見えるが、浴槽は広々としたタイル貼りで清潔だ。入場料300円。
わが湯の花温泉の共同浴場は4つあり、どれだけハシゴしても200円。木賊温泉・岩風呂が同じく200円で、広瀬の湯が300円、檜枝岐温泉の「燧(ひうち)の湯」が500円、小豆温泉・窓明の湯が850円。なるほど、設備が値段に反映している。



冷やりとするトンネルを抜けたら、明るい景色が待っている(はずだ)。今日帰京し、明日から静岡のメインスタッフ・ロケハンとなる。
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