2017/10

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いつの頃からか、忘年会、新年会の類いにまったく縁のない生活を送っている。人間関係を断ってるわけでもなく、まあまあ普通に(?)仕事もしてるはずだが、誘ってくれる組織も個人も皆無。人望のない、わたしの不人気ぶりが窺われるが、昨年暮れに珍しく一回だけ忘年会に誘われた。

誘ってくれたのは「出版業界最底辺編集者」の塩山芳明。彼の編集する『獣欲』という物凄い雑誌で、わたしは「ケダモノ名画座」という1Pコラムを連載している。エロ本ライターとして最後に残ったのが、この『獣欲』だと思うと、いささか感慨深い。

不定期刊なので、シオヤマが電話してくるのも年に2〜3回だが、南陀楼綾繁氏や畠中理恵子さんと忘年会やるから来ないか、と言ってきた。シオヤマに飲み会に誘われるとは、珍しいこともあるものだと参加を表明する。

シオヤマの最初の著書は『嫌われ者の記』。これを南陀楼氏が編集し『出版業界最底辺日記〜エロ漫画編集者「嫌われ者の記」』(ちくま文庫)として再刊された。
自他ともに認める嫌われ者だけが、わたしを誘ってくれる。う〜む。

で、当日、何にも知らないで行ったら、ただの忘年会ではなかった。飲んだ後「不忍ブックストリーム」というネットTVの座談会を行うというのだ。南陀楼氏が司会で、畠中さんとシオヤマが喋るらしい。面白そうなので、わたしもついて行った。
 
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場所は、近くのマンションの一室。なるほどネットTVの収録はこんな風にやるのかと、実に興味深いものだった。今、何人がこの番組にパソコンをつないでいるか、視聴者の人数までカウントできるのだという。ピンク映画なんていう旧時代の遺物にかかずらっているわたしには、お茶の間SFといった印象。

鼎談の内容は、わたしも酔っていたのでほとんど忘れているが、シオヤマなりのサービス精神なのだろう、期待される嫌われ者を演ずるべく、顰蹙を買うような差別用語や実名批判を繰り出しているうちは、そんなに無理しないでもいいのに、と思った。

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ところが、お勧め本の話題になって、興に乗って喋ること、喋ること。愉悦の表情を浮かべて喋りまくる。で、彼のお勧め本はディケンズとゴンチャロフで、まあ世界の文豪としてディケンズの名前ぐらいは知っているが、ゴンチャロフっていったい誰だ?

現代の読者がほとんど読んでないような本を、反時代的に(?)取り上げ、ことさらに吹聴するのは、いかにもシオヤマらしいが、実際誰も読んでないのだから、ご意見拝聴だけとなる。

異議や疑問を挟まれることなく、自分しか読んでない本について、延々と楽しそうに喋り続ける男、というのも珍しいのではないか。後日談によれば、酔っ払っていて、本人は覚えていないというのだが、多分トボケているのだろう。

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毎月呆れるぐらいの量の本を読んでいるらしいが、それも一箱古本市で副収入を得ることにつながっている。たえず実利を伴うところが、これもシオヤマらしい。

しかし、彼は昔の彼ならず。わたしはこの日の午後、上野オークラで荒木太郎くんの永井荷風原作のピンク映画を見て、そこから飲み会が行われる根津に歩いて行った。小学校時代、叔母が根津に住んでいたので、うろ覚えの土地勘はある。

シオヤマは、わたしが電車賃がなくて上野から歩いてきたと思ったらしい。飲み会の会費を集める段になって、金はあるのかと心配してくれた。30年近い付き合いのはずだが、かつてこれほど厭味な人間がこの世にあるのかと驚嘆した人物も、老境が近づいてくると、時に親切な表情を見せるようになる。年を取るということは、悪いことばかりではないのだろう。

*追記
不忍ブックストリ−ム第4回「大忘年会」は、以下で見ることができます。
http://www.ustream.tv/recorded/11579616

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comment

シオヤマに40年頃の生まれかと言ったら怒りますよ。正確には知りませんが、多分50年代半ばだろうと思います。確かに髪は春声氏に似てますね。

  • kuninori55
  • 2011/02/05 1:10 PM

正座をし帽子をかぶっていないと頭髪の色がわかり、鏡の中の自分と色は似ているのではと思う。∴Mr.Sは'40年頃生誕?左記理解間違いか。

  • printempshunsei
  • 2011/02/05 9:02 AM









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